カシュガーイー族(読み)カシュガーイーぞく(英語表記)Qashqā'ī

改訂新版 世界大百科事典 「カシュガーイー族」の意味・わかりやすい解説

カシュガーイー族 (カシュガーイーぞく)
Qashqā'ī

イラン南西部ファールス地方にいるトルコ系部族。11世紀前半にアゼルバイジャンに侵入したトルクメン系遊牧民のうちイラン高原中央部を経てファールス地方に移動していったものの後裔であろうといわれる。言語はアゼルバイジャン語と親縁関係をもつ。部族名はサファビー朝期にシャー・アッバース(在位1587-1629)からファールス地方の諸部族の支配をゆだねられたジャーニ・アーガー・カシュガーイーJāni Āqā Qashqā'ī将軍に由来する。20世紀の前半まで部族地域で強大な自治権を有していたが,パフラビー朝の成立後,定住化を強制された。レザー・シャーが廃位された1941年から50年代前半まで再び自治権を拡大したが,56年,武装解除された。部族が移動する範囲は広大で,シーラーズの西から南東にかけてフージスターンからラーレスターンにまで及ぶ地域に冬営地が点在し,夏営地はシーラーズの北,北西にある。72年の統計によると部族は六つの部族集団に分かれ14万人余の人口で,このうち33%が定住している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android