ギリシア正教(読み)ギリシアせいきょう(英語表記)Greek Orthodox Church; Eastern Orthodoxy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギリシア正教」の意味・わかりやすい解説

ギリシア正教
ギリシアせいきょう
Greek Orthodox Church; Eastern Orthodoxy

公式には「正統カトリック教会」,一般には,東方正教会,ハリストス正教会,ギリシア正教会などと呼ばれる。ここでいうギリシアは,民族としての名称ではなく,ラテンに対してギリシア文化を表現する。したがって近代ギリシアにおけるギリシア正教会とは区別される。ローマ・カトリック教会とともに,現存最古の教会で,最初の7つの普遍公会議で定められた信仰慣行を遵守する。 1054年,ローマとコンスタンチノープルをそれぞれ中心として,キリスト教東西に2つに分れ,東方は正 (統) 教会を主張した。その後,コンスタンチノープルを中心とする宣教によって,ロシア,バルカン諸国のキリスト教化が進み,ビザンチン帝国を背景に,ヘレニズム的色彩の強いキリスト教の伝統が移植された。今日,コンスタンチノープル (イスタンブール) ,アレクサンドリア,アンチオキア,エルサレムの四総大主教区が古代以来の伝統を継いで存在し,コンスタンチノープル総大主教がギリシア正教全体の名誉上の首長となっている。ローマ教皇の首位権を認めず,民族主義的傾向が強く,各地方の教会はおおむね自治的で,ロシア正教会はじめ多くの自立教会が連合体を形成している。

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世界大百科事典(旧版)内のギリシア正教の言及

【アトス】より

…アトスの名はすでに古代世界に広く知られており,ホメロスの《イーリアス》や,ヘロドトスの《歴史》にも記述がみえる。しかし,今日一般にアトスもしくはアトス山と呼ぶ場合,それらは単に地名としてよりも,ギリシア正教を奉ずる自治国家としての半島全体を指すことが多い。また,この地は,中世以来広く正教世界全体にとっての聖地と見なされてきたところから,〈聖なる山(アギオン・オロスÁgion Óros)〉とも呼ばれる。…

【東方正教会】より

…〈カルケドン信条〉(451)を教義の基盤とするので,東方のカルケドン派教会と呼ぶこともできる。日本ではギリシア正教の名称がよく用いられるが,これは現在のギリシアの正教会(ギリシア正教会)と混同されるおそれがある。なお,〈カルケドン信条〉を受けいれなかったネストリウス派教会,単性論派教会は東方教会ではあるが,正教会には含めない。…

※「ギリシア正教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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