ケアリー(Joyce Cary)(読み)けありー(英語表記)Joyce Cary

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ケアリー(Joyce Cary)
けありー
Joyce Cary
(1888―1957)

イギリスの小説家。アイルランドに生まれる。エジンバラ大学やパリ遊学で絵画を学び、オックスフォード大学在学中カント、ブレークの著作に親しむ。1913年志願してバルカン戦争従軍。のちアフリカのナイジェリア政庁に勤務。第一次世界大戦では同地の連隊に所属、参戦して負傷。1920年帰国して作家生活に入る。独自の道徳的・政治的観点にたち物語性の濃い作品を発表。初期の『救われたアイッサ』(1932)、『ミスター・ジョンソン』(1939)などはアフリカに舞台と主題をとる。『いとしいチャーリー』(1940)、『子どもたちの家』(1941)は幼少年期を扱う自伝的作品である。ほかに2編の三部作があり、その1、『自分でも意外』『巡礼となる』『馬の口から』(1941~1944)は、三枚絵の技法を用い、作者の人生観が3人の語り手を通じて示される。その2、『恩寵(おんちょう)の虜(とりこ)』『主にあらずば』『栄光は去りぬ』(1952~1955)は、政治家チェスター・ニモの生き方を主軸にした作品。

[佐野 晃]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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