ケモチダニ(読み)けもちだに(英語表記)myobiid mite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケモチダニ」の意味・わかりやすい解説

ケモチダニ
けもちだに / 毛持蜱
myobiid mite

節足動物門クモ形綱ダニ目ケモチダニ科の総称。有袋類、食虫類、翼手類、齧歯(げっし)類に終生寄生して組織液を吸う。体長0.5ミリメートル内外で、体は白色で背腹に扁平(へんぺい)。第1脚だけが著しく肥厚短縮し、平行して前方を向き、そこに備わった特殊な把毛器を使って毛をつかむ。ケモチダニ類は、属ごとに特異な宿主関係を示し、あるものは宿主の種と1対1に対応し、ほかのものは宿主の数種の近縁種に共有されている。したがって、これらのダニ類は、宿主間の類縁関係を示す指標生物として利用される。終生寄生性のダニであるため、人体への移行はないが、実験用マウスでは、多数の寄生によって皮膚炎がおこることがわかっている。

[内川公人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android