ダニ類(読み)ダニるい(その他表記)Acari; mite; tick

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダニ類」の意味・わかりやすい解説

ダニ類
ダニるい
Acari; mite; tick

クモ綱ダニ目に属する種類の総称体長は一般に 0.3~0.7mmであるが,最小種は 0.15mm。大型種のなかには吸血すると 2cmをこえるものがある。頭,胸,腹部は完全に癒合し,前方に顎体部 (口器) が突出していることが多い。腹面のなかほどに生殖門,後方に肛門が開く。歩脚は4対で,通常1~3本の爪をもつ。陸上のあらゆる環境にみられるといって過言でなく,さらに池や川,地下水,海にすむ種もかなりの数に上る。世界中から記録された種は約4万種であるが,実際にはその 10倍ほどが生息しているであろうといわれる。既知種の 80%が自由生活種で,多様な場所に多様な生活を営んでいる。雌雄異体で,受精により産卵するが,雌だけで単為生殖をするものもある。産卵数は1回に1~数個が普通であるが,マダニの仲間は例外的に 1000個以上である。孵化した幼虫は3対の歩脚をもち,脱皮後若虫になると成虫と同じく4対になる。成熟期間は,10日間ほどのものから半年間ぐらいかかるものまでまちまちである。貯蔵食品や畳などに発生して衛生上の問題を引起したり,農作物の葉,茎,根などを食害して大害を与えたりするが,なかにはこのような害ダニ類や昆虫類を捕食する種もある。また哺乳類,鳥類などに寄生する種には,感染症媒介者となって直接・間接的に人間に害を与えるものがある。

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