日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケルンコル」の意味・わかりやすい解説
ケルンコル
けるんこる
kerncol
断層面が地表面と交わる線、すなわち断層線に沿って生じた凹地(鞍部(あんぶ))をいう。侵食輪廻(りんね)の壮年期に侵食された山地を下刻する河川を横切る方向に延長している断層線によくみられる。この名称はアメリカの地質学者ローソンC. A. Lawsonによって命名された。その典型的な例はアメリカ、カリフォルニア州のカーン谷上流部にあり、現地では「カーンコル」とよんでいる。日本での代表例は長野県伊那谷(いなだに)にみられ、ここでは「盗っ人道(ぬすっとみち)」とよばれている。この地形は、断層線(帯)の侵食、小地溝の形成、山麓(さんろく)側が高まるような断層変位、また、横ずれ断層による尾根筋の食い違いとその侵食などで生ずる場合が多い。ケルンコルは、断層地形を認定するうえで重要な指標となっている。
[有井琢磨]