ゴルシコフ(英語表記)Sergei Georgievich Gorshkov

改訂新版 世界大百科事典 「ゴルシコフ」の意味・わかりやすい解説

ゴルシコフ
Sergei Georgievich Gorshkov
生没年:1910-88

ソ連海軍軍人。第2次世界大戦後長期にわたりソ連海軍を指導,ソ連海軍を沿岸防備艦隊から,アメリカ海軍に比肩しうる外洋進出艦隊に発展させた。1931年フルンゼ海軍士官学校卒業。第2次大戦前は黒海,太平洋艦隊で艦長,戦隊長をつとめた。戦中はオデッサ防衛戦で黒海艦隊上陸部隊を指揮,その後アゾフ海小艦隊司令官,ドナウ小艦隊司令官をつとめ,ノボロシースク(現,ドニエプロペトロフスク)防衛戦で臨時47軍を指揮した。戦後黒海艦隊司令官を経て,56年以後85年まで海軍総司令官の職にあった。61年に党中央委員になり,67年にはソ連海軍元帥となる。65年と82年にソ連邦英雄。73年海軍誌に〈戦時平時の海軍〉を発表し,海軍は平時においても外交の武器,政治の道具として政治的,心理的影響力の浸透拡大という国家目的達成上重要な役割を演じていると述べた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴルシコフ」の意味・わかりやすい解説

ゴルシコフ
Gorshkov, Sergei Georgievich

[生]1910.2.26. カメネツポドロスキ
[没]1988.5.13. モスクワ
ソ連の海軍軍人。ソ連海軍を世界屈指の近代海軍に育てた功労者とされる。 1927年赤軍に入隊。 31年フルンゼ海軍士官学校卒業。黒海で護衛艦に勤務。旅団長,司令官などを歴任後,第2次世界大戦終了まで,黒海艦隊の参謀をつとめた。 56年以降国防相,海軍総司令官,61年党中央委員,62年海軍元帥。ソ連邦英雄賞,レーニン賞などを受賞。主著『国家の海洋力』 Morskaya Sila Stranyは名著といわれ,ソ連のマハンとたたえる人もいる。その戦略思想は,弾道ミサイル装備の戦略潜水艦の任務を最大限に重視するもので,攻撃潜水艦によって,アメリカの同種兵力,空母,ミサイル装備の航空機,原子力潜水艦に対抗し,西側の生命線を切断しようとするものであった。

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