日本大百科全書(ニッポニカ) 「サッシュベルト」の意味・わかりやすい解説
サッシュベルト
さっしゅべると
sash belt
飾り帯のこと。装飾的な幅広の、柔らかい材質でできた、締め金具を使わない腰帯をサッシュsashといい、日本ではこれをサッシュベルトとよんでいる。サッシュには、このような飾り腰帯や肩にかけるスカーフの類と、軍人などが肩から斜めにかける肩帯(けんたい)や肩章などの意味がある。中世までは肩帯だけを意味し、今日のような飾り腰帯が登場するのは14世紀になってからである。サッシュの名で服装に取り入れられたのは16世紀以降のことで、部屋着の装飾ベルトとして男女ともに流行した。階級を示す肩章も騎士などに盛んに用いられた。18世紀以降、女性の正装にも登場し、今日ではおもに女性用装飾帯となっている。男性用としてタキシードに着けるカマーバンドcummerbandがあり、日本の兵児(へこ)帯、スペインのファハfajaやフィリピンのタピスtapisなど民族服にはサッシュの類が多い。
[田中俊子]