シェルアシュール文化(読み)シェルアシュールぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「シェルアシュール文化」の意味・わかりやすい解説

シェル・アシュール文化 (シェルアシュールぶんか)

ヨーロッパアフリカおよびアジアの一部では,中部更新世のころ,ハンド・アックスを指標とする前期旧石器文化が栄えていた。19世紀以来,フランスの二つの標式遺跡にちなんで,その前半粗製のハンド・アックスをもつシェルChelles文化,後半はより発達した石器を作り出したアシュール文化として区分されてきた。しかしその後,シェル遺跡の石器はアシュール文化のものが主体を占めていることが明らかになり,シェル文化の用語は,ヨーロッパではソンム河岸の遺跡名をとってアブビル文化に置き換えられた。アフリカでは,1947年の汎アフリカ先史学会議で,ヨーロッパと同時代のハンド・アックス文化をシェル・アシュール文化と命名することが決議され用いられてきたが,現在ではすべての段階をひっくるめてアシュール文化と呼び,そのうちアブビル文化にあたる初めのいくつかの時期を,アシュール前期とする考え方が強くなっている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android