シク分離主義運動(読み)シクぶんりしゅぎうんどう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シク分離主義運動」の意味・わかりやすい解説

シク分離主義運動
シクぶんりしゅぎうんどう

北インドのパンジャブ州で 1970年代後半以降に展開された,一部シク教徒によるカリスタン Khalistan (清浄な国) 設立運動。パンジャブ州は 1947年の印パ分離独立の際に,パキスタンからの難民であった多くのシク住民が移り住んだ。インド政府は同州をパキスタンとの戦略上の観点から農業州として固定化する方針を打出し,工業投資は控えてきた。 1960年代から米や麦の生産は向上したもののこの政府の一方的な方針に対してシク教徒の不満は次第に増大し,富裕なジャート系シク教徒の反政府運動へと発展,80年代には暴力行為が横行した。一方,このころ一部の海外移住シク教徒の間でもカリスタン運動が提起され,これがパンジャブ州での動きに相乗作用した。 84年,インド政府軍はテロリストが籠城するシク教総本山のゴールデン・テンプルに武力行使を行なったが,その後,I.ガンジー首相が官邸でシク教徒警護兵により射殺された。分離主義運動は 90年代に入り,やや沈静化している。

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