独立の機能を支配する遺伝的単位.遺伝的にはシストランステスト(相補性試験)を利用して,ある二つの突然変異が同一の遺伝子機能に関するものであるかどうかを調べることによって判定できる.すなわち,二倍体の2本の相同染色体のある二つの座に,それぞれ1本ずつに突然変異を起こさせた場合をトランス,同一染色体上に起こさせたものをシスとよび,トランスの場合に変異型となり,シスの場合に正常型の形質を示すとき,その二つの座は同一シストロンに属するものとし,また,トランスでもシスの場合でも正常型の形質を示すとき,その二つの座は異なったシストロン上に起こっていると定義される.このようにシストロンは遺伝的に独立の機能をもつ遺伝単位であり,一般には1遺伝子は1シストロンにあたると考えてよい.[別用語参照]遺伝子
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
… 原核生物の場合,機能的に関連した数個のタンパク質の遺伝子群が,DNAの上で隣接して存在し,これらが1分子のmRNAとして転写されることが多い。この遺伝子群をオペロンoperonと呼び,それを構成する各遺伝子をシストロンcistronと呼んで区別する。したがって原核生物のmRNA分子の種類数は遺伝子の数よりは少ないと考えられる。…
…mRNAを介して個々のポリペプチドに対応する二重鎖DNAの領域が,一遺伝子一ポリペプチド説にいうところの遺伝子である。このカテゴリーの遺伝子をシストロンまたは構造遺伝子とよぶ。これはポリペプチドの一次構造を決定する遺伝子という意味である。…
…RNA鎖は5′末端から3′末端の方向へ伸長し,DNA上の転写終結を指令する塩基配列部位で,タンパク質性の転写終結因子の介在のもとに合成を停止し,DNAより離れていく。 原核生物の場合,関連の深い数個程度の遺伝子が,ひとつづきのメッセンジャーRNA(mRNAと略記)として転写されることが多いが,この遺伝子群のことをオペロンoperonと呼び,各遺伝子をシストロンcistronと呼ぶ。オペロン単位で転写されたmRNAも,リボソーム上でのタンパク質合成の段階では,各シストロン別に翻訳される。…
※「シストロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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