シラー(ユリ科)(読み)しらー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シラー(ユリ科)」の意味・わかりやすい解説

シラー(ユリ科)
しらー
[学] Scilla

ユリ科(APG分類:キジカクシ科)ツルボ属の総称。秋植え球根草で、ヨーロッパ、アジアなどに分布し、日本のツルボもこの仲間である。葉は根生し、その中心から花茎を1本または数本出し、小さい花を総状につける。花色は青紫色が多いが紫紅色や白色もある。強健で耐寒性も強い。花壇に群生させて観賞するほか鉢植えに向く。秋に日当り、排水のよい場所に植え付ける。繁殖は分球による。おもな種類は次のとおり。

 カンパニュラータ(ヒメツリガネズイセン)Hyacinthoides hispanica (Mill.) Rothm.(S. campanulata Ait.)はスペイン、ポルトガル原産。5月にカンパニュラ(キキョウ科ホタルブクロ属)に似た花を多数つける。カンパニュラータは、以前はシラー属に分類されていたが、ヒアシンソイデス属となった。ペルビアナ(オオツルボ)S. peruviana L.は地中海沿岸原産。5月、ごく小さい花を上向きに密生する。シビリカS. siberica Andr.はシベリア原産の小形種で、カンパニュラに似た花を数個つける。チューベルゲニアナS. mischtschenkoana Grossh.(S. tubergeniana Hook.)はイラン北部原産の極早生(ごくわせ)種。2月ころ、葉と花茎を出し、花弁淡青色青色の絞りが入った花を数個開く。

[平城好明 2019年3月20日]


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