改訂新版 世界大百科事典 「ジアゾメタン」の意味・わかりやすい解説
ジアゾメタン
diazomethane
H2CN2の化学式をもつ,非常に有毒な爆発性の黄色気体。融点-145℃,沸点-23℃。次のような共鳴混成体として表されると考えられる。
アシル化あるいはスルホン化されたN-メチル-N-ニトロソアミンCH3N(NO)Rと塩基の反応で合成されるが,現在はRがp-トリル基のSO2C6H4(p-CH3)のものが最もよく用いられる。エーテル,ジオキサンに可溶で,通常エーテル溶液として用いられる。エーテル溶液は,低温では比較的安定であるが,水,アルコールが混在すると分解が速い。液化したものや濃縮液は爆発しやすいので蒸留は極力さけたほうがよい。また,爆発の危険性があるので,合成時にはすり合せの器具を用いず,ゴム栓を用いる必要がある。酸,フェノール,エノールなど酸性の水素をもつ化合物と反応しメチルエステル,メチルエーテルになるので,優れたメチル化剤として実験室的にきわめて重要である。酸塩化物と反応するとジアゾメチルケトンまたはクロロメチルケトンとなる。活性なアセチレン,エチレン類とは1 ,3-双極子反応しピラゾール,ピラゾリン誘導体となる。
執筆者:岡崎 廉治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報