日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジオキサン」の意味・わかりやすい解説
ジオキサン
じおきさん
dioxan
環内に2個の酸素原子をもつ6員環複素環式化合物で、酸素の位置により1,2-ジオキサン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサンの3種類の異性体がある。通常、ジオキサンというのは1,4-ジオキサンである( )。
1,4-ジオキサンはエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを濃硫酸、塩化亜鉛などの存在下で加熱したときの蒸留物として得られる。無色の芳香をもつ液体で、水および種々の有機溶媒と任意の割合で混じり合う。溶解力が強いので溶剤として優れていて、工業的にはアセチルセルロースや塗料の溶剤として用いられるほか、実験室用の溶剤としても広く用いられている。引火点120℃で燃えやすく、弱い毒性をもっているので取扱いには注意を要する。
[廣田 穰]
『中西準子・牧野良次・川崎一・岸本充生・蒲生昌志著『詳細リスク評価書シリーズ2 1,4-ジオキサン』(2005・丸善)』