ジオキサン(読み)じおきさん(英語表記)dioxan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジオキサン」の意味・わかりやすい解説

ジオキサン
じおきさん
dioxan

環内に2個の酸素原子をもつ6員環複素環式化合物で、酸素の位置により1,2-ジオキサン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサンの3種類の異性体がある。通常、ジオキサンというのは1,4-ジオキサンである()。

 1,4-ジオキサンはエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを濃硫酸、塩化亜鉛などの存在下で加熱したときの蒸留物として得られる。無色芳香をもつ液体で、水および種々の有機溶媒と任意の割合で混じり合う。溶解力が強いので溶剤として優れていて、工業的にはアセチルセルロース塗料の溶剤として用いられるほか、実験室用の溶剤としても広く用いられている。引火点120℃で燃えやすく、弱い毒性をもっているので取扱いには注意を要する。

[廣田 穰]

『中西準子・牧野良次・川崎一・岸本充生・蒲生昌志著『詳細リスク評価書シリーズ2 1,4-ジオキサン』(2005・丸善)』



ジオキサン(データノート)
じおきさんでーたのーと

ジオキサン
分子式C4H8O2
分子量88.1
融点11.80℃
沸点101.40℃
比重1.0356(測定温度20℃)
屈折率(n) 1.42241
溶解度∞(水と任意の割合で混合

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジオキサン」の意味・わかりやすい解説

ジオキサン
dioxane

1,3- ジオキサンと 1,4- ジオキサンの異性体があるが,通常は後者をいう。無色液体,沸点 101℃ (750mmHg) 。水にも有機溶媒にも溶ける。水と共沸混合物 (沸点 88℃) をつくる。高分子化合物や無機物質の溶剤として用いられ,リチウムの抽出にも使われる。エチレングリコールから製造する。

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