スギ赤枯病(読み)すぎあかがれびょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スギ赤枯病」の意味・わかりやすい解説

スギ赤枯病
すぎあかがれびょう

スギ苗木の針葉・緑枝を侵して全滅の被害をおこす伝染病で、明治中期に北アメリカから持ち込まれた侵入病害と推測されている。病原菌であるサーコスポラ・セコイアCercospora sequoiae Ell. et Ev.は菌類の1種で、病枝葉中で越冬し、4~10月に胞子による伝染を繰り返す。病苗木の植栽により造林木の溝腐(みぞぐされ)病へと発展し、九州や四国など西南暖地では林内伝染もおこる。ギガント・セコイア、ラクウショウスイショウ、リュウサンおよびイトスギ類に発生し、日本やアメリカのほかブラジル、朝鮮半島南部、台湾、中国、フィリピンに分布する。苗畑では生育期にボルドー合剤、マンネブ剤などの定期予防散布を年間10~12回必要とする。

[小林享夫]

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世界大百科事典(旧版)内のスギ赤枯病の言及

【樹病学】より

…誘因の種類とそれにより発生または被害が増大する病気を表2に示した。 なお日本に発生する樹病の中には,スギ赤枯病やマツ類材線虫病のように,過去の栽培(造林)と被害の歴史から,元は外国からの侵入病害と考えられるものがあり,それぞれスギ,マツにおける最大の重要病害として毎年その予防と駆除に膨大な経費がかけられている。
[防除]
 樹病の防除は,苗畑・緑化樹養成畑では発生環境の改善と同時に薬剤防除も実施し無病苗養成を目標としているが,森林では流行病のまんえん阻止あるいは保安林の保護といった特殊な場合を除いては,薬剤による防除は行われない。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」