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樹病 じゅびょう

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大辞林 第三版の解説

じゅびょう【樹病】

樹木の病気の総称。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

樹病
じゅびょう

樹木の病気の総称であるが、狭義には果樹やクワ、チャを除く林木、庭園街路樹、花木の病気をいう。樹病の原因には、伝染性の生物性病原と伝染性のない非生物性病原とがある。後者による病気を生理病ともいい、マツ黄化病、スギ針葉赤変病、マツ・カラマツ紫色化病などの養分欠乏症、マツ・カラマツ・サツキてんぐ巣病などの芽条変異枝がわり)、あるいはカラマツ、マサキ、ハギその他の帯化病があげられる。帯化やてんぐ巣などの植物の奇形は、いけ花や観賞用の新品種として利用される場合もある(非伝染性であり遺伝的に固定していることが必要)。
 生物性病原に含まれるウイルス性病害のなかでは、ファイトプラズマによるキリてんぐ巣病がキリ栽培上最大の障害である。細菌病にはカエデ首垂(くびたれ)細菌病のほか、フジやヤマモモ、センダンなどに細菌性のこぶ病がある。藻類による病気には、熱帯性の陸生藻類による常緑広葉樹の白藻(しろも)病があり、変形菌病は天然生の稚樹や苗畑でみられる病気である。マツ材線虫病、根腐(ねぐされ)線虫病、根こぶ線虫病は下等動物の線虫を病原とし、北米からの侵入病害であるマツ材線虫病の被害は今なお大きなものがある。ビロード病はケフシダニ類の寄生によっておこる。菌類(糸状菌)を病原とする病気にはスギ赤枯(あかがれ)病、カラマツ先枯(さきがれ)病、ヒノキ樹脂胴枯(どうがれ)病、トドマツ枝枯(えだがれ)病など林業上被害の大きい病気が数多い。また緑地に流行病的枯損をおこすサクラてんぐ巣病、ジンチョウゲ黒点病、カナメモチ・シャリンバイごま色斑点病などがある。
 生物性病原による樹木病害は、また被害部位や被害部の変性状態によって四つの群に大別される。第一は土壌中の病原微生物の侵害による根の病気、すなわち土壌病害で、苗畑では苗立枯(たちがれ)病、根腐線虫病、根こぶ線虫病、林地ではならたけ病、緑地では紫紋羽(もんぱ)病、白紋羽病の被害が大きい。いずれも土壌中の残根、伐根株が伝染源となるため、その除去と土壌薬剤処理が防除の要点となる。第二は葉、花、実に発生する病気で、その種類はきわめて多い。病斑(びょうはん)の色調、形状が診断の基準になるが、環紋(かんもん)葉枯病、輪紋(りんもん)葉枯病、灰色かび病など宿主範囲の広い多犯性の病気と、宿主範囲の狭い限定性の病気とがある。また、スギ赤枯病、カラマツ落葉病、マツ葉枯病、うどんこ病、さび病などの常発型の病気のほかに、スギ・ヒノキ黒粒葉枯病、マツすす葉枯病、雪腐病など、乾燥、寒さ、雪、大気汚染といった環境諸要因を誘因として突発的に大発生する病気もある。苗畑では薬剤防除が主体となるが、病植物や病落葉の焼却、土中埋没など伝染源を始末することも重要な手段となる。
 第三は胴・枝枯性病害と材質腐朽病で、草本植物にはない樹木特有の病気である。樹皮を侵す胴・枝枯性病害の多くは任意寄生性の病気、すなわち環境諸条件の影響で樹木の健康度が落ちて初めて発生する病気で、その発生が逆に立地環境の欠陥を示す指標となる。トドマツ枝枯病、スギ暗色枝枯病、針葉樹のがんしゅ病、キリ胴枯病などがその例である。材質腐朽病は病原菌が枯れ枝や傷口から生立木(せいりゅうぼく)の幹や太枝の材に侵入し腐らせる被害で、樹木は生きているが内部で腐朽が進行するため、伐採利用の段階で被害の大きさが問題になる。また1990年代に入ってニホンキバチが媒介するアミロステリウム菌による、スギ・ヒノキ生立木材の変色被害が新たな問題となっている。いずれも防風帯や庇(ひ)陰樹の残存、除・間伐、枝打ち、樹種転換などの育林的手段による防除が主体となる。第四はサクラてんぐ巣病、マツこぶ病、ツバキもち病など組織・器官の増生・増大による奇形で、細菌や菌類が病原である。[小林享夫]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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