スタジオジブリ(読み)すだじおじぶり(英語表記)STUDIO GHIBLI INC.

知恵蔵 「スタジオジブリ」の解説

スタジオジブリ

アニメーション制作スタジオ。「風の谷のナウシカ」(1984年3月公開)の成功を機に、85年6月、同作品を制作した出版社・徳間書店が出資して設立。初代社長は徳間書店の社長でもあった徳間康快(故人)。
以後宮崎駿高畑勲両監督の劇場用アニメーション映画を中心に制作してきた。劇場用の長編アニメーションをオリジナル作品のみで制作するスタジオは、世界的にも数少ないとされる。設立当初は吉祥寺を拠点としていたが、92年8月、東京都小金井市にスタジオを建設し現在に至る。97年6月、株式会社徳間書店と合併し、スタジオジブリ・カンパニーに改組。99年10月、(株)徳間書店スタジオジブリ事業本部と改称する。2005年4月、徳間書店より独立して株式会社スタジオジブリとなる。
「ジブリ(GHIBLI)」とはサハラ砂漠に吹く熱風を意味するイタリア語で、第2次世界大戦中に使用されたイタリアの軍用機の名前でもある。「日本のアニメーション界に旋風を巻き起こそう」との思いを込めて、飛行機マニアの宮崎駿がスタジオ名に用いたとされる。
01年10月に「三鷹市立アニメーション美術館」(通称名「三鷹の森 ジブリ美術館」)を開館。初代館長は、宮崎駿の長男の宮崎吾朗。完全予約制で、スタジオジブリ作品の上映や企画展、世界のアニメーション作家と作品の紹介などを行っている。徳間記念アニメーション文化財団(11年4月より公益財団法人)が管理運営する。
制作作品は、「となりのトトロ」」「火垂るの墓」(共に1988年4月公開)、「魔女の宅急便」(89年7月公開)、「紅の豚」(92年7月公開)、「耳をすませば」(95年7月公開)、「もののけ姫」(97年7月公開)、「千と千尋神隠し」(2001年7月公開)、「崖の上のポニョ」(08年7月公開)、「風立ちぬ」(13年7月公開)など多数。「千と千尋の神隠し」は観客動員2350万人、興行収入304億円で、日本映画歴代1位。同作品は02年第52回ベルリン国際映画祭でアニメーション作品として史上初の金熊賞を、03年第75回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞し、宮崎駿監督の代表作となった。
02年7月、高畑・宮崎監督以外の監督による初作品「猫の恩返し」と「ギブリーズepisode2」を公開し、以後、若手監督の起用が行われている。また同年からは海外の実写・アニメーション映画の配給・宣伝、コマーシャル映像の制作(代表作にハウス食品「おうちで食べよう」シリーズなど)にも取り組む。
05年に第62回ベネチア国際映画祭栄誉金獅子賞、国際交流基金賞を受賞するなど国内外で高い評価を得てきた宮崎駿は、13年9月に「風立ちぬ」を最後に長編作品からの引退を発表した。14年8月、アカデミー賞を選考する映画芸術科学アカデミーが、宮崎駿にアカデミー名誉賞を贈ることを発表。卓越した業績を残した映画人に贈られる賞で、日本人では1990年の黒沢明監督以来2人目。

(葛西奈津子  フリーランスライター / 2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉プラス 「スタジオジブリ」の解説

スタジオジブリ

日本のアニメーション制作会社のひとつ。本社所在地は東京都小金井市。アニメ映画「風の谷のナウシカ」(1984年公開)を制作した徳間書店の出資により、同社子会社として1985年に設立。1997年の徳間書店との合併を経て2005年に独立、株式会社スタジオジブリとなる。宮崎駿・高畑勲両監督による劇場用長編アニメーションの制作を中心に活動。代表作に「となりのトトロ」「火垂るの墓」「千と千尋の神隠し」など。

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