神隠し(読み)かみかくし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

子供などが突然行方不明になることをいう。村中の人たちが (かね) や太鼓をたたいて名を呼び,捜し歩いた。天狗,きつね,鬼,隠し神などによって隠されたものと信じられ,永遠に帰らない場合と山中などでぐったりしている姿を発見される場合があった。その場合,はきものがきちんとそろえてあるのも一特徴とされる。古来民間信仰では,霊界との交流の重要な手段と思われてきた。

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百科事典マイペディアの解説

人がゆくえ不明で見当たらぬとき昔は神隠しにあったと信じた。また天狗(てんぐ),(きつね),夜道怪(やどうかい),隠しばあさん,隠れ座頭のしわざともされ,村中総出で鉦(かね)・太鼓をたたき〈もどせ,かえせ〉と叫んで捜す。神隠しにあうのは子どもが多く,山中などで失神状態で発見されたりした。

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世界大百科事典 第2版の解説

人が突然行方不明になったとき,神に隠されたと解釈することをいう。子どものことが多いが,成人の場合には妊娠中の女性や病弱あるいは異常心理状態の男女にみられる。さまざまな神霊が神隠しを行うとされるが,天狗にさらわれたとするところが多い。神隠しにあったときは,村中の者が鉦(かね)や太鼓をたたき,隠された者の名を呼び,〈かえせ,もどせ〉と叫んでさがしまわるのが一般的なならわしであった。行方不明の理由は,実際には,家出誘拐,精神異常,事故死などさまざまであったと考えられる。

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大辞林 第三版の解説

子供などが不意に行方不明になり、探しても容易に見つからなかったり、茫然自失の状態で発見されたとき、それを天狗・迷わし神・隠し神など超自然的なものに隠されたと考えたもの。 -にあう
服喪ふくも中、白紙を張って神棚を隠すこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

子供などが急にみえなくなることをいう。以前農村などにはよくあったことで、これを天狗(てんぐ)にさらわれたなどといって、村中総出で鉦(かね)・太鼓(たいこ)をたたいて捜した。なかなかみつからないが2、3日してひょっこり帰ってくることがあった。話を聞いてもうろ覚えのことが多い。大人の場合には、すこし愚鈍の男というのがよく神隠しにあう。狐(きつね)にさらわれたといって稲荷(いなり)神社に願ったり、稲荷下げに頼んだりする。稲荷神に願うと狐が罰せられるので、すぐ返してくれるという。天狗は子供が好きだといって、子供を連れて空を飛んだり川を越したりする。神隠しを捜すのに枡(ます)の底をたたいて捜す。天狗はその音がたいへん嫌いだという。沖縄にも神隠しの話がよくあり、物迷いという。モノというのは一種の霊で、それに誘われてあちこちを連れて歩かされる。多く夕方から夜中にかけてのことである。モノに迷わせられると普段歩けないところも通って行く。水面や断崖(だんがい)などを飛ぶとき、屁(へ)をひると落とされるので危険である。モノにさらわれると赤豆飯(あずきめし)を食べさせられるが、それは赤土である。家に戻ってきた後の便をみると、赤土が混じっているという。東北地方などによく大人が急にみえなくなった話がある。女の場合が比較的多く、山男に連れ去られその女房になったという。そういう者は一度だけ村に姿をみせることがあるが、ふたたび姿を隠して行方が知れなくなってしまうという。[大藤時彦]

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世界大百科事典内の神隠しの言及

【迷子】より

…今日では,外出中道に迷ったり,親にはぐれたりなどした子どもをいうが,古くは,原因不明の幼児の失踪を指す〈神隠し〉と同義であった。明治時代の中ごろまで,ときにはそれ以後も,農山村や都市で,とくに農村では麦の刈入れに忙しい春の一時期,時間的には夕刻の薄明のころに,突然子どもが原因不明の失踪をすることが少なくなかった。…

※「神隠し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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