スタジオ(読み)すたじお(英語表記)studio

翻訳|studio

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スタジオ」の意味・わかりやすい解説

スタジオ
すたじお
studio

画家彫刻家・写真家などの仕事場工房アトリエ、音楽・舞踊演技などの練習場、CD(コンパクト・ディスク)・レコードなどの録音室、映画撮影所、ラジオ・テレビの放送室など多くの意味をもつ。「熱意・研究」を意味するラテン語のstudiumから出たもので、studyと姉妹語。もともと個人の仕事場という意味であったものが、集団的芸術表現のための仕事の場、さらに機械技術を駆使しての作品制作のための仕事の場へと意味が拡大されてきたものとみることができよう。ここでは放送のスタジオについて説明する。

 放送の全体の仕組みは、送り出すものをつくる演奏設備、つくられたものを放送電波にのせて伝播(でんぱ)させるための送信設備、送られてきた電波を受け取り放送信号を取り出して視聴する受信設備の三つの段階で構成されている。このうち受信設備は視聴者が負担するもので、前の二つが放送局が受け持つ部分となる。普通、演奏設備と送信設備は別の場所に設けられる。一般に都市にみられる放送局は主として演奏設備を有するもので、演奏設備の中心的要素がスタジオとなる。放送番組という、音声によって、あるいは音声と映像によって構成される表現物を制作するために、できるだけ高い水準の物理的条件を人工的に整備するために用意されたものがスタジオである。

後藤和彦

ラジオ・スタジオ

ラジオのスタジオの究極の目的は良質な収音を行うことで、そのため一方で外部の騒音振動を排除する遮音に多大の注意が払われ、他方で良質な音響の実現のための適切な音響特性の獲得が目ざされている。音楽スタジオ、ドラマ・スタジオ、ディスクジョッキー・スタジオなど、使用目的に適したスタジオがあるが、いずれも隣接する副調整室で素材音のミキシングが行われ、その制作結果が送出運行室(あるいは主調整室)に送られ、そこから送信所ないしは他局へ送出されることになる。スタジオの制作設備にはマイクロホン、音声調整装置、録音・再生機器などがある。

[後藤和彦]

テレビ・スタジオ

テレビはラジオの音声系統に加えて映像系をもつものなので、ラジオ・スタジオに比べてはるかに大掛りで複雑な構造をもっている。具体的には、スタジオ内の人・物の動きに応じられるだけの空間と、映像としてカメラに適切にとらえることができるだけの明るさが必要である。テレビのスタジオの制作設備としては、テレビカメラ、複雑な映像の処理をする映像調整卓と音声調整設備から構成される映像調整設備、懸架装置調光装置、ライトからなる照明設備、それに録画・送像設備などがある。

 一般的な放送局のスタジオのほかに、繁華街のビルなどに小さなスタジオ(サテライト・スタジオ)を設けて、人々の参加を得ながら番組を制作することも行われている。また、報道の重要性が高くなってきたのに対応して、臨機応変にニュース報道ができるように、局内(ワークスペース内)に特別のニュースセンター・スタジオを設けるテレビ局も増えてきている。さらに、コンピュータ・グラフィクス(CG)の技術を利用して、画面上に映像として、実際にはないスタジオセットがあるようにみせる、バーチャル・スタジオ(仮想スタジオ)も使われている。

[後藤和彦・米倉 律]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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