スターン・レビュー(読み)すたーんれびゅー

知恵蔵 「スターン・レビュー」の解説

スターン・レビュー

元世界銀行のチーフエコノミストであるニコラス・スターン卿は、2006年10月、英国政府の依頼を受けてとりまとめた「スターン・レビュー」を発表した。レビューは、「地球温暖化の被害は、第一次、第二次世界大戦の規模になる恐れがある」と警告し、「地球温暖化防止に失敗すると、次の世紀には、地球の平均気温は5度上がると予想されている。温室効果ガス排出量を安定化するには、2050年までに、世界的にGDP(国内総生産)の1%を使う必要がある。もし何もしないと、世界的に国内総生産は最低5%、最高で20%減ると考えられている。地球規模で低炭素経済に移行し、政府は課税システムなどで二酸化炭素排出規制を行わなければならない。二酸化炭素ガス排出を低下させる技術と効率の良い新技術の開発も望まれる」としている。「何もしないことのコスト」が、「必要な対策のコスト」を圧倒的に上回ることを示している。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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