ストマジェン(読み)すとまじぇん(英語表記)stomagen

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

植物の葉や茎の表面にあって二酸化炭素を取り込む働きをする気孔の数を増やすことができる植物ホルモン。京都大学教授の西村いくこの研究グループが2009年(平成21)12月に発見したと発表し、イギリスの科学誌『ネイチャー』に掲載された。気孔(stoma)を生み出す(generation)という意味から名づけられた。アミノ酸が45個連なった分子構造をもち、人工合成が可能である。

 植物は気孔から大気中の二酸化炭素を吸収し、光合成によってデンプンを生成、そこから糖、油、セルロースなどをつくっている。西村らの実験では、人工合成したストマジェン溶液に、発芽直後の実験植物シロイヌナズナを浸したところ、気孔数が約4倍に増え、ストマジェンの量が多いほど気孔数が増えたと報告した。これは遺伝子組み換えに頼らずに、気孔数をコントロールした世界初の事例であった。

 気孔は多種多様な植物に存在し、ストマジェンによって植物の二酸化炭素吸収能力が向上すると、作物の収穫量を増大させる可能性があり、地球温暖化防止や食糧問題の解決に役だつと期待されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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