セッコ(その他表記)secco

翻訳|secco

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セッコ」の意味・わかりやすい解説

セッコ
secco

絵画用語。中世後期からルネサンスにかけて使用された壁画技法で,「乾いた」を意味するイタリア語フレスコ・セッコともいい,漆喰が完全に乾いた状態の壁画に,石灰水で溶いた顔料またはテンペラで彩色する技法およびその壁画そのものをさす。セッコは比較的早く顔料が剥落するという欠点があり,イタリアでは主としてブオン・フレスコの仕上げとして使用された。一方アルプス以北ではブオン・フレスコが風土的条件に適さないため,主としてセッコが用いられた。

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世界大百科事典(旧版)内のセッコの言及

【テンペラ】より

… 卵を用いた技法自体はギリシア・ローマ以前から存在し,中世の装飾写本,中世末からルネサンス期にかけての板絵の祭壇画,東欧のイコンなどでは主要な技法であった。フレスコの補助技法としても使われ,しっくいが乾いてから描くセッコと呼ぶ技法に使われる絵具の大半は卵テンペラである。15世紀中ごろから油絵が普及し始めると,テンペラは色の透明感,光沢などの点で劣り,取扱上の制約も大きいために急速に主流技法の地位を失うが,デッサンやエスキースにはその後も広く使われた。…

【フレスコ】より

…しかし,本来イタリア語のfrescoとは〈新鮮な,できたての〉を意味する形容詞(英語のfreshにあたる)で,名詞として,漆喰を塗ってまもなくそれがまだ乾き切らないうちに描く画法,およびそのようにして描かれた壁画に限定して用いられ,普通,フレスコとはこの意味で使われる。これに対し,漆喰が乾いてから彩色をする場合,セッコsecco(イタリア語で〈乾いた〉の意)という呼称がある。しかし実際の作品で両者を区別するのは必ずしも容易ではなく,両者の技法が併用されている場合も,一般に信じられている以上に多い。…

※「セッコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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