テロ戦争(読み)てろせんそう

知恵蔵の解説

オーストラリアは現在、米国の対テロ戦争に協力するためにイラクとアフガニスタンに実戦部隊を派遣している。イラクへは約1500人の兵士を派遣しており、2007年末までの駐留が決まっている。開戦時の派遣部隊は約2000人であったが、1年半で半減したため、米英両国から増派の要求を突きつけられてきた。サマワに駐留していた日本の自衛隊を護衛するために、05年4月に450人を増派したことで、オーストラリアのハワード首相は米英両国に対して漸くメンツを保つことができた。自衛隊の撤収いかんにかかわらず、ネルソン国防相はオーストラリア軍をイラクに駐留させると発言するなど、オーストラリアの対米英協力には不退転の決意が見られる。同様にアフガニスタンに対しても、オーストラリアは06年1月に特殊部隊110人を、5月には工兵部隊240人を増派すると発表した。これによってアフガニスタン駐留のオーストラリア軍は500人を超え、アフガニスタン復興支援として2億7000万豪ドル(約237億円)の追加予算も計上された。アフガニスタンでは南部地域を中心に、タリバーンの残党が武装攻撃を仕掛けており、内戦の危機に直面している。米国はアフガニスタンから駐留部隊を順次撤退させるため、この穴埋めを英国軍とオーストラリア軍が担うことになる。ハワード首相にとって米英豪の3カ国連携が、安全保障政策の根幹となっている。

(竹田いさみ 獨協大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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