…多くの細胞で,核が細胞の中心に位置するように,細胞の繊維構造が核を係留し,細胞小器官やその他の微細構造の配分とその変化に対しても重要な役割を果たしている。さらに繊維構造は,デスモソームdesmosomeを介して細胞間の結合にも関係しており,細胞集団の形態形成は,各細胞内の繊維構造の再編成とその繊維構造による力の発生および伝達で実現される。 このように多方面にわたる細胞機能に関係している細胞骨格cytoskeltonは,複雑で細胞種によっても微妙に違うが,それぞれ特色ある3グループの繊維(微小管,中間繊維,マイクロフィラメント)によってつくられる構造に大別される。…
… 細胞間接着を電子顕微鏡を用いて微細構造レベルで解析した結果,細胞接着のための特別な構造,または細胞膜の部分のあることが知られている。接着斑(デスモソームdesmosome),密着結合tight junction,接着帯zonula adherens(または中間結合),狭間隙(きようかんげき)結合gap junction(ギャップ結合)などがそれである。上皮細胞ではしばしば,密着結合,接着帯,接着斑が上皮の自由表面から内側に向かって順に並び,結合複合体と呼ばれる構造を形成する。…
…上皮細胞の上端には隣の細胞との間に閉鎖帯zonula occludensがあり,細胞膜どうしが融合しあって細胞間隔をシールしている。閉鎖帯のほかに上皮細胞間にはデスモソームdesmosomeという斑状の構造が散在しあって細胞間を接着している。またギャップ結合gap junctionとよばれる構造が斑状にちらばり,ここでは両細胞の細胞間がいちじるしく接近し,その間に特有のタンパク質粒子が介在し,この粒子の中央に両細胞をつなぐ小孔があり,細胞間のイオンの交流を行っている。…
…光学顕微鏡で光輝線あるいは介在板と呼ばれたものは心筋細胞の境界にほかならない。この部分にはデスモソームdesmosomeという細胞の接着装置が発達していて,心筋細胞どうしが収縮のときに離れないようになっている。心筋細胞は骨格筋細胞に比べて筋原繊維が少なく,筋形質が豊富である。…
※「デスモソーム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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