デーバーラム(英語表記)Devāram

改訂新版 世界大百科事典 「デーバーラム」の意味・わかりやすい解説

デーバーラム
Devāram

7,8世紀に南インドに現れたシバ教の聖者アッパル(3130編),サンバンダル(4181編),スンダラル(650編)の宗教詩を一つにまとめたもの。テーバーラムTēvāramとも。10世紀ころ成立。タミルの伝統的な文学技法に基づいて,シバ神への信仰を熱烈にうたい上げた詩から成る。紀元後数世紀以降南インドに広まった帰依信仰運動(バクティ)の中から生まれたもので,のちにナンビ・アーンダール・ナンビによって,シバ派聖典《ティルムライTirumuṟai》(11世紀末に成立)に収められた。現在でも南インドのシバ教寺院では,日々の礼拝でこの賛歌集からの抜粋がうたわれる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のデーバーラムの言及

【シバ派】より

…また,〈そのことばはルビーのごとくである〉とたたえられるマーニッカバーサガル(10世紀)も重要な人物である。彼らが,シバ神への熱烈な信愛の情感をこめ,タミル語で創作した賛歌は,《デーバーラム》や《ティルバーチャカム》などの賛歌集としてまとめられ,今日にいたるも愛唱されている。なお,この派の神学上の学問的な業績としては,シュリーカンタŚrīkaṇṭha(14世紀?)が《ブラフマ・スートラ》に対して著した注釈書《シャイバ・バーシャ》が有名である。…

【スンダラル】より

アッパルやサンバンダルとともに,南インドでのシバ教隆盛の基盤をつくった。彼のつくったシバ神頌歌650編は,シバ教の聖典《デーバーラムDevāram》(10世紀ころ)に収められている。シバ派【徳永 宗雄】。…

【ナーヤナール】より

…ヒンドゥー教で重んじられている沐浴やベーダの学習や苦行などは,根本的には空しい所業にすぎないと力説した。彼ら三聖の詩は,10世紀に,シバ派の神学者ナンビヤーンダル・ナンビの手によって集成され,《デーバーラム(テーバーラム)》と名づけられた。また,これは,同時代のチョーラ朝のラージャラージャ大王の助力によって典礼用の音楽に仕立てられた。…

※「デーバーラム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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