トリニトロン(読み)とりにとろん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

トリニトロン
とりにとろん
Trinitron

1968年(昭和43)ソニー社が開発した、ブラウン管を用いたカラーテレビジョン用の受像管。1本の電子銃内に一体化してつくられた三つのカソードから発射される3本の電子ビームは、偏向電極間を通過したのち、さらにアパーチャーグリル(縦に狭いスリットをあけた金属板で、シャドーマスクの一種)を通り、蛍光体に当たる。三色の蛍光体はフェースプレート(前のガラスの面)の内側に細く縦縞(たてじま)状に塗布されており、三つの電子ビームがそれぞれの蛍光体に当たり、それぞれの色を発光させる。カラーテレビジョン用受像管では、3本の電子ビームをシャドーマスク上で1点にあわせないと画面に色ずれが生じて見にくくなる。この三色像の重ね合わせをコンバージェンスとよぶが、トリニトロンでは電子銃の配置から中央に置かれた緑用の電子ビームについて調整の必要がなく、左右にある赤、青のビームに対して、しかも水平方向だけ調整すればよいので、コンバージェンスが容易に行える。トリニトロンは、電子銃を3本使用する方式に比較して一体化されているため構造が簡単であるうえに、画面が明るく、しかも消費電力が少ない特長があった。また、他の受像管が球面状のフェースプレートをもっているのに対し、円筒状のフェースプレートになっているのが特色であった。トリニトロンは世界的に販売されていたが、1990年代以降の薄型テレビの普及に伴い需要が減少。2006年(平成18)日本国内の販売が終了し、2008年には全生産を終了した。[木村 敏・金木利之・吉川昭吉郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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