ドルーズ(読み)どるーず(その他表記)Gilles Deleuze

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドルーズ」の意味・わかりやすい解説

ドルーズ
どるーず
Gilles Deleuze
(1925―1995)

ポスト構造主義を代表する現代フランスの哲学者。スピノザカントニーチェベルクソンなどの手堅い個別研究から出発し、『差異反復』(1969)、『意味の論理学』(1969)で独自の境地を開く。さらにフェリックス・ガタリとの共著『資本主義と精神病』(第1巻『アンチ・オイディプス』1972、第2巻『千の高原(ミル・プラトー)』1980)においては現代社会への痛烈な批判を展開(反ファシズム、反教条主義)、定住的、国家体制的な思考に対して、遊牧的、流動的な思考を対置。われわれの生きている現実を、秩序によって諸領域に分節された固定的なものとしてではなく、さまざまな異質な流れの線が複雑に絡み合い接合し合う多数多様体の相互的組込み(アジャンスマン)(リゾーム、プラトー)としてとらえ返し、現代の定住的都会人が、強権的秩序から絶えず逃走しつつ、無定形な空間のなかに自由に動き回り遊び回りうる可能性を、アナーキーなまでに徹底的に追求した。

[足立和浩 2015年5月19日]

『ジル・ドゥルーズ著、宇波彰訳『プルーストとシーニュ』(1974/増補版・1977・法政大学出版局)』『足立和浩訳『ニーチェと哲学』(1974・国文社/河出文庫)』『ドゥールーズ、ガタリ著、市倉宏祐訳『アンチ・オイディプス』(1986・河出書房新社/河出文庫)』

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世界大百科事典(旧版)内のドルーズの言及

【シリア】より

… こうして,〈聖地とキリスト教徒(巡礼)の保護〉の名目で,〈東方問題〉がシリアの事情をいっそう複雑にする。たとえば,レバノンでシハーブShiḥāb家はドルーズ派から改宗してマロン派キリスト教徒になっており,15世紀以来ローマと関係をもつ同派本山の威光と財力とでレバノン山岳部の統一を果たし,たび重なる農民蜂起もフランス軍の力で鎮圧する。一連の農民蜂起の種はアッカー(アッコ)の知事ジャッザールが内陸シリアの実権を握り過酷な収奪を続けたことに起因する。…

※「ドルーズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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