ドヴァケ法(読み)ドヴァケほう

大学事典 「ドヴァケ法」の解説

ドヴァケ法[仏]
ドヴァケほう

1986年3月の下院選挙での右派の勝利を受けたフランス初の保革共存内閣のもと,同年に提出された大学改革法案。右派として5年ぶりに内閣の座を奪い返したシラク首相は,社会党政権下で進められてきた政策の転換に取り組もうとし,大学に関してこの任を担ったのが国民教育大臣付研究・高等教育担当大臣アラン・ドヴァケ,A.であった。自由化,自律化の旗印の下,大学入学時の選抜や,国家学位の規制の緩和による各大学独自の学位授与制度の導入(教育面での自律化),各大学による一定の枠内での授業料の設定(財政面での自律化)等を法案として掲げたが,これらは万人が高等教育を受ける権利を妨げ,大学間の格差化を招き,授業料を上昇させるものであるとして,高校生・大学生による大規模なデモを引き起こした。とくに学生マリク・ウースキンがデモ後の警察の追跡殴打によって死亡した2日後(12月8日)にドヴァケは辞任に追い込まれ,法案は撤回された。
著者: 白鳥義彦

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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