バクダーシュ(読み)ばくだーしゅ(英語表記)Khālid Bakdāsh

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バクダーシュ」の意味・わかりやすい解説

バクダーシュ
ばくだーしゅ
Khālid Bakdāsh
(1912―1995)

シリアの政治家。ダマスカスのクルド系の名家に生まれる。イスラム教徒。ダマスカスで法律を修める。1930年に新聞記者となったころからシリア共産党の指導者となる。フランス委任統治政府により1931年に数か月間投獄され、1933年にふたたび逮捕され、当時のソ連に逃亡した。1936年に帰国し、シリア共産党の書記長となり、反フランス国民運動を指揮する。1954年国会議員に当選。アラブ諸国ただ一人の共産党国会議員であった。1958年、エジプト・シリアの統合に反対し、共産圏に亡命する。1966年バース党急進派の政権が誕生したのち帰国し、バース党との協調路線をとる。1973年人民議会議員となる。1968年健康上の理由でシリア共産党の書記長を辞任するが、のちに再選された。著書は『民族主義と共産主義』『アラブ共産主義者とアラブ民族主義運動』など多数。

[木村喜博]

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