バナナ帝国(読み)ばななていこく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バナナ帝国」の意味・わかりやすい解説

バナナ帝国
ばななていこく

アメリカのバナナ資本が中央アメリカに築いたビジネス帝国。中央アメリカにおけるアメリカ資本の進出ぶりと巨大な支配力を象徴する。1870年代に、アメリカ人のマイナー・キースMinor Cooper Keith(1848―1929)がコスタリカから北アメリカに向けてバナナを輸出したのがその始まりで、1899年に他社と合併してユナイテッド・フルーツ社(現チキータ・ブランズ・インターナショナル)を設立した。その後同社は、ホンジュラスグアテマラに進出し、1920年代の末までには、スタンダード・フルーツ社などとともに、パナマキューバコロンビアにまで及ぶ広大なバナナ帝国を築き上げた。バナナ会社は、巨大な土地、鉄道港湾を所有してバナナの生産、輸出を独占するとともに、中央アメリカ諸国の内政にも干渉するなど、この地域の政治、経済に大きな影響力を及ぼした。1970年代以後、バナナ資本の地位は中央アメリカのバナナ生産国の結束によって低下しているが、まだその影響力は残っている。

[加茂雄三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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