改訂新版 世界大百科事典 「パルスコラム」の意味・わかりやすい解説
パルスコラム
pulse column
液液抽出装置の一つ。脈動抽出塔ともいう。多孔板型抽出装置において多孔板を通る液の流れを円滑に行い,軽液と重液の分散,接触を良好にするために抽出装置内の液に脈動を与えるものである。装置の概略を図に示す。軽液と重液の密度が比較的近い組合せでも抽出操作が可能になるといわれる。一方,あまり脈動を大きく与えると液滴がエマルジョンになりやすく,また段間の逆混合を起こして装置の効率が下がり,さらにエネルギー的にも負荷を増す。脈動の条件としては,おおよそ1~30mmの振幅で,0.5~2Hzの周波数が適当である。液液抽出一般に用いられるが,とくに原子力事業における燃料処理に際して金属の抽出によく用いられる。多数の精密に加工された多孔板を設置するため装置が複雑になり,装置の材質も高価なものを用いる必要があるのでコストが高くなるのが難点である。なお充てん(塡)塔型抽出装置において脈動を与える場合があり,広い意味ではこれもパルスコラムに含まれる。
→抽出
執筆者:古崎 新太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報