日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ヒル(Archibald Vivian Hill)
ひる
Archibald Vivian Hill
(1886―1977)
イギリスの生理学者。ブリストルの生まれ。ケンブリッジ大学で数学を学んだが、卒業後生理学の研究に転向し、生理学教授ラングレーJohn Newport Langley(1852―1925)のもとで筋肉収縮の研究を始めた。1920~1923年マンチェスター大学の生理学教授、1923~1925年ロンドン大学教授、1926年から1951年に退官するまで王立協会フォレルトン研究教授であった。この間、筋収縮時の熱発生の研究に主力を傾け、また神経興奮時の熱発生も研究した。筋肉中の乳酸代謝を研究していたマイヤーホーフとともに、「筋肉中の熱発生に関する発見」によって1922年のノーベル医学生理学賞を受賞した。
『筋活動』Muscular Activity(1926)、『生命ある機械』Living Machinery(1927)、『人の筋運動』Muscular Movement in Man(1927)のほか多数の著書、論文がある。教授職のほか下院議員、インド政府科学顧問や、科学団体の役員を歴任した。
[中山 沃]
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