翻訳|Bristol
イギリス,イングランド南西部のエーボン州にある商工業都市で州都。地名は〈橋のある場所〉の意。人口39万1500(2003)。ブリストル海峡に注ぐエーボン川の下流,フルーム川との合流点に位置し,エーボン川河口のエーボンマウスにある国際港湾やイングランドとウェールズを結ぶ鉄道によって交通の要衝をなし,航空機,原子力,タバコ,製粉,印刷などの工業が発達する。サクソン人の集落が成立するのは10世紀になってからであるが,ノルマン征服時にはすでに城が建設されて交易中心となっており,1155年にはヘンリー2世により同市へ初めて特許状が出され,1373年には独立の州となった。このころから毛織物工業が発展し,製品はアイルランド,スペインなどへ輸出された。また近世にはJ.カボットら航海者の出帆地となり,新大陸とのタバコ,砂糖の交易,さらには三角(奴隷)貿易で繁栄し,ガラス,陶器工業も立地した。その後,リバプールの台頭,奴隷貿易の廃止によって一時衰退するが,大西洋横断汽船グレート・ウェスタン号の建造やJ.L.マッカダムによるマッカダム道路の発祥の地となり,19世紀中葉には大西洋貿易の拠点としての繁栄をとり戻して,イングランド南西部の商業中心にもなった。市街はエーボン川とフルーム川の合流点にある小丘を中心に広がり,12世紀のアウグスティヌス会修道院で19世紀に再建された大聖堂,14世紀のセント・メアリー・レドクリフ教会など古い建築物が多いが,第2次世界大戦の空襲でかなり破壊された。1876年創立のブリストル大学があり,詩人R.サウジーの生地。
執筆者:長谷川 孝治
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イングランド西部の港湾都市。中世から毛織物,ブドウ酒の取引で栄え,大航海時代の開幕により,アメリカ,アフリカを結ぶ三角貿易の中心として,奴隷,砂糖,タバコによって巨富を築き,一時はロンドンにつぐイングランド第2の都市であった。産業革命後は造船業をはじめとする重工業が立地したため,第二次世界大戦中に爆撃を受けて,多大の被害をこうむった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…(6)南西部 コーンウォール半島を中心とする地域で,南部海岸では温暖湿潤な気候を利用して輸送園芸もみられるが,丘陵部では乳牛や羊,肉牛の放牧地域となる。プリマス,エクセターなどの港湾都市がイギリス海峡側にあるが,むしろこの地域の中心は,航空機・食品工業の発達したブリストルである。
[ウェールズ]
ほとんどが準平原状の高原でおおわれ,かつ年降水量1250mm以上の湿潤気候であるため,羊,肉牛の粗放的放牧に重点がある。…
※「ブリストル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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