ビテュニア(その他表記)Bithynia

改訂新版 世界大百科事典 「ビテュニア」の意味・わかりやすい解説

ビテュニア
Bithynia

小アジア北西部の古称。山岳地帯ではあったが海岸部に良港をもち,肥沃な平野,牧草地にも恵まれ,良材,果物,穀物大理石などを産した。住民はトラキア系であり,固有の風俗習慣を守っていた。沿岸地帯にギリシア人の植民都市が建設されるにつれて両者の間には戦争が生じた。アケメネス朝ペルシアの支配下では不完全ながらも自治を保ち,ディアドコイ戦争の混乱時にビテュニア王国が成立した(前298か前297)。前3~前2世紀初めにかけて隣国との国境地帯やギリシア人植民都市を占領・併合し,ヘレニズム文化を吸収して強国となった。しかしローマの隆盛を見たニコメデス4世Nikomēdēs Ⅳは,前74年,王国をローマ人に遺贈し,ここにポンペイウスの指導下に属州ビテュニア・ポントスが設置された。重要な東方内陸貿易や黒海沿岸との海上貿易のため,帝政期には元老院管轄から皇帝直轄へと移された。後1世紀末には,すでにキリスト教が広く根づいていたことが確かめられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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