ポントス(読み)ぽんとす(英語表記)Pontos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポントス」の意味・わかりやすい解説

ポントス
ぽんとす
Pontos

パプラゴニア(後のビティニア)とアルメニアの間の、黒海(古名ポントス・エウクセイノスPontos Euxeinos、ポントゥス・エウクシヌスPontus Euxinusともいう)に面した古代の小アジア北東地域。水利と温暖な気候に恵まれ肥沃(ひよく)であったので、穀物果実が豊かにとれ、また船材や鉱物資源も豊富であった。沿岸部には紀元前7世紀中ごろからギリシア植民市が建設されて繁栄し、その周辺地帯はギリシア化されたが、内陸部は諸種族が割拠していた。キロス大王の時代以来ペルシアに服する形になっていたが、前363年太守アリオバルザネスがこの地の諸種族を実質的に従えることによって、独立王国の基礎を築いた。前298年に建てられたポントス王国はミトリダテス6世の時代に最盛期を迎えたが、ローマとの抗争後はその従属下に陥り、王国は分割された。

[古川堅治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポントス」の意味・わかりやすい解説

ポントス
Pontos; Pontus

小アジア北東部,黒海の南岸地域のうちハリュス川 (現クズル川) の東の地域をさす。ラテン名ポンツス。海岸にはギリシア人植民地が建設されたが,のちアケメネス朝ペルシアの支配を受けた。前 337年頃ミトラダテス1世がこの地をギリシア化したが,ペルシア的社会構造を有するポントス王国を築き,ミトラダテス6世のときに最も繁栄した。しかし前 89年および前 74~63年の2回にわたるローマとの戦いで,ついにポンペイウス (大ポンペイウス) の率いるローマ軍に屈した。

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