ビハーリーラール(読み)びはーりーらーる(英語表記)Bihārīlāl

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビハーリーラール」の意味・わかりやすい解説

ビハーリーラール
びはーりーらーる
Bihārīlāl
(1595―1663?)

インドヒンディー語詩人。中央インドのグワリオルに生まれる。ジャイプルの王の庇護(ひご)を受け、宮廷詩人となった。一頌(しょう)につき金貨一枚の約束で詠んだ、ラーダークリシュナをめぐる官能的な恋愛詩を集めた『ビハーリー七百吟(サトサイー)』(1662)は、優れた修辞法を駆使して後代に大きな影響を与えた。17、8世紀ごろの作詩法時代、恋愛詩時代の発端となり、多くの注釈書が書かれた。

[田中敏雄]

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世界大百科事典(旧版)内のビハーリーラールの言及

【インド文学】より

…作詩法の技巧をこらした恋愛詩は,クリシュナ信仰の官能的な側面を強調したもので,王侯・貴族の喜びのために宮廷とその周辺の詩人が献上するという形で多くがよまれている。ケーシャブダースの《ラシクプリヤー》,ビハーリーラールの《サトサイー(七百吟)》(17世紀)などがその代表的な例である。 以上は大部分が韻文文学であるが,19世紀後半のバーラテンドゥ・ハリシュチャンドラは,評論・戯曲の創作と翻訳を行いながら散文を広めようと努力した。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」