改訂新版 世界大百科事典 「フェイヨル」の意味・わかりやすい解説
フェイヨル
Henri Fayol
生没年:1841-1925
経営管理論の祖とされるフランスの企業経営者。正しくはファヨールと読む。リヨンに生まれ,リヨンの大学予備校を経てサンテティエンヌの鉱業学校を卒業。コマントリー・フールシャンボー・デカズビ社に入り,鉱山技師から取締役になり1918年退社。その経験をもとに形成された彼の管理論は,(1)活動計画を頂点とする各種の全体的管理を明らかにしたものであり,(2)管理の価値的側面に重点を置き,今日の予算管理の基礎をなし,(3)個人差のある人間の集団の管理の理論を中心にしている。これは以後の管理論研究に多大な影響を与えた。退職後は軍隊や行政組織など企業以外にもその理論の普及を図り,管理論の一般化に努めた。またF.W.テーラーの業績を早くから自己の研究を補うものであるとして評価した。テーラーの理論が工場レベルの管理を対象としていたのに対し,フェイヨルの管理論(フェイヨリスムまたはファーヨリスム)は組織一般の全体的・基本的な管理の原則を追求したものであった。
執筆者:辻村 宏和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報