フェデラルファンドマーケット(英語表記)federal funds market

改訂新版 世界大百科事典 の解説

フェデラル・ファンド・マーケット
federal funds market

フェデラル・ファンド,すなわちアメリカの連邦準備銀行への預け金の取引が行われる市場。連邦準備制度加盟銀行はその預金に対し,連邦準備制度理事会が決める法定支払準備率に基づき,所要準備required reservesを連邦準備銀行に無利子で預金しなければならない。〈所要準備をこえる支払準備〉(過剰準備excess reserves)を保有する加盟銀行は,所要準備に不足しそうな加盟銀行にその過剰分を貸し付け,フェデラル・ファンド・レートに基づき利子を取得する。

 フェデラル・ファンド・マーケットは,このように本来加盟銀行間で行われるフェデラル・ファンドの貸借取引市場であったが,現在は非加盟銀行,相互貯蓄銀行貯蓄貸付組合,外国銀行支店等を含む金融機関相互間の即日利用可能な資金の取引が行われる市場を意味する。フェデラル・ファンド・レートは日本コール・レートに当たり,短期資金市場における中心レートを形成する。したがって金融政策の操作目標として,通貨供給とともにフェデラル・ファンド・レートも選ばれることが多い。フェデラル・ファンド・レートは通常,連邦準備銀行のディスカウント・レート(日本の公定歩合)より低い。なぜならば,ディスカウント・レートがフェデラル・ファンド・レートより低ければ,銀行は連邦準備銀行からの借入れを選ぶほうが得だからである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のフェデラルファンドマーケットの言及

【コール市場】より

…アメリカのフェデラル・ファンド・マーケット,イギリスのコール・割引市場に相当する。金融機関や証券会社等は日々の営業活動において一時的に資金繰りにゆとりが生じたり,不足に陥ったりするが,こうした短期の資金過不足を相互に,また円滑に融通し合う貸借取引の場を総称して一般に短期金融市場と呼ぶ。…

※「フェデラルファンドマーケット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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