支払準備率(読み)シハライジュンビリツ(英語表記)reserve ratio

デジタル大辞泉 「支払準備率」の意味・読み・例文・類語

しはらいじゅんび‐りつ〔しはらひジユンビ‐〕【支払準備率】

預金準備率

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「支払準備率」の意味・わかりやすい解説

支払準備率 (しはらいじゅんびりつ)
reserve ratio

銀行が預金残高に対して,日々の支払請求に応じるためにもっている支払準備(現金通貨,中央銀行預け金等)の比率。もっとも,最近では,準備預金制度のもとで市中金融機関は預金等の債務の一定割合相当額を通常無利子で中央銀行に預入れする義務を負っているが,その預入れ率のことを指す場合が多い。中央銀行は支払準備率を政策的に変動させることにより,金融機関の支払準備を直接的に増減させ,これを通じてその信用創造機能をコントロールすることができる。日本では,〈準備預金制度に関する法律〉(1957公布)により支払準備率の設定,変更,廃止大蔵大臣認可を得て日本銀行政策委員会が行うことになっている。また,支払準備率の法定最高限度は20%であるが,居住者外貨預金,非居住者外貨債務,非居住者円勘定に係る債務については100%まで可能となっている。なお,支払準備率の具体的な設定に際しては対象債務別,対象金融機関別に定めることができるものとされている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「支払準備率」の意味・わかりやすい解説

支払準備率
しはらいじゅんびりつ
reserve requirement ratio

金融機関の預金総額に対する支払準備金の比率。金融機関はいつでも預金者の払戻し要求に応じられるように,預金総額の一定割合の支払準備金を保有していなければならない。ここで支払準備金とは,広義には当該金融機関の保有現金,中央銀行預け金,他行への預け金,コールローンなどを含むが,このうち預金残高の一定比率に相当する中央銀行預け金が法律によって義務づけられている場合,所要準備金 required reservesといい,中央銀行はこの比率を変更することによって金融機関の流動性を調整し,その与信能力をコントロールする政策手段とする。現在は欧米先進国でこれが用いられており,日本でも 1957年に準備預金制度としてこれが導入され,59年9月に初めて預金準備率が決定された。

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世界大百科事典(旧版)内の支払準備率の言及

【準備預金制度】より

…市中金融機関の預金等の債務の一定割合相当額を通常無利子で中央銀行に強制的に預け入れさせ,その預入れ率すなわち支払準備率を随時変更することにより,金融機関の現金準備を直接的に増減させ,その信用創造機能をコントロールしようとする通貨調節手段。過去においては,この制度の趣旨は預金者保護にあるとみられていたが,最近では純粋な通貨調節手段の一つとの見方が一般的となっている。…

※「支払準備率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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