ヘリコプター・ペアレンツ

大学事典 の解説

ヘリコプター・ペアレンツ

子どもの大学生活に対して頻繁に介入する保護者を示す用語。自らの子どもの上空を旋回しながら見守り,問題が生じるや否や着陸し,子どもを助けるという保護者の行動イメージから名づけられた。1990年にアメリカ人医学博士のフォスター・クライン,F.W.(Foster Cline, F.W.)により,その著書の中で初めて用いられた。2000年代以降のアメリカでは,ヘリコプター・ペアレンツの存在が各種調査によって指摘されている。日本においても,入学式や卒業式等の参加に加え,履修や進路等に関する相談を保護者が積極的に行う事例が報告されている。こうした保護者の存在の背景としては,少子化による家族関係の変化や学生消費者主義の台頭が考えられる。しかし,介入が許容される範囲と「過介入」と判断される範囲との線引きは難しく,保護者の介入を好ましくないものとして一概に否定すべきではない。わが子の教育に対して強い関心を払う保護者に対する大学の向き合い方が問われている。
著者: 橋場論

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報