ベギン会(読み)ベギンかい(その他表記)Beguines

改訂新版 世界大百科事典 「ベギン会」の意味・わかりやすい解説

ベギン会 (ベギンかい)
Beguines

中世起源をもつ,女性による半修道会的集団。修道会のような入会誓約は課されないが,厳格な共同生活規約をもち,神秘的な瞑想による静穏な修道生活を理想とし,首導者のもとに,処女または寡婦の会員たちは,隔絶された会院hof内で起居した。ただし,個人的財産は所有されたままで,共同財産に組みこまれず,また脱会によって結婚することもできた。対応する男性の集団は,ベガルド会Beghardsであるが,ベギン会ほどに有力ではなかった。起源については見解がわかれているが,当初12世紀にネーデルラント地方,ことに現在のベルギーの各地で広まったものと思われ,リエージュブリュージュ等で盛んとなった。のち,ライン中・下流,北フランスに拡大した。修道活動とともに,社会的慈善活動に従事したが,各会院間には統括組織をもたなかったようである。その神秘的瞑想に関して嫌疑がかけられ,1311年ビエンヌ公会議では禁圧された。のちに再認可されたが抑圧は続き,15~16世紀には救済団体としての機能がまさってゆく。現在でもベルギーを中心に少数,存続している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のベギン会の言及

【慈善事業】より

… 中世ヨーロッパの各地に都市が成立すると,慈善事業に新しい局面が訪れる。都市内に成立した手工業者や商人の兄弟団(組合)がキリスト教の教義に基づいて盲人,啞者,病人などの世話をしたからであり,とくにベギン会やベガルド会などの在俗修道会はこの方面で大きな活動を行っていた。豊かな商人や都市貴族たちは私財を投じて病院をつくり,そのなかには1331年に成立してから1920年のインフレーションで閉鎖されるまで続いていたコンラート・グロスの聖霊病院(ニュルンベルク)のような例もある。…

【自由心霊兄弟団】より

…しかし,この語は多くの場合,同時代にあっては非難のための他称として用いられ,道徳的逸脱が指標として言いたてられる。集団組織としてはベギン会を当初おもな母体としたとの説があるが,より多様な集団に依拠したとみるのが適当であろう。神秘的合一や秘教的結社の例は,13世紀にもあるが,教会当局によって異端として恐れられるにいたったのは,14世紀初頭,ビエンヌ公会議(1311‐12)前後のことであり,同世紀が最盛期であった。…

※「ベギン会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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