法律上の用語で、相手方が死亡した配偶者を生存配偶者といい、生存配偶者である妻を寡婦という。寡婦はつねに夫(配偶者)の財産の相続人となる(民法890条)。その相続分は、夫の子・直系尊属・兄弟姉妹などのうち、だれと共同で相続するかによって異なる(同法900条)。
寡婦となっても自動的には結婚前の氏には戻らず、夫の親族との姻族関係も消滅しない。結婚前の氏に戻す場合は民法751条1項、戸籍法95条に基づき、姻族関係を解消する場合は民法728条2項、戸籍法96条に基づき、それぞれ別個に市区町村長への届出が必要である。寡婦は遺族として寡婦年金をはじめ、さまざまな給付を受ける資格がある。なお原則として、夫の死後100日間は再婚することができない(再婚禁止期間・民法733条1項)。
[高橋康之・野澤正充 2016年9月16日]
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…父の生存中はその持分は潜在的であるが,父の死によって顕在化し,兄弟は家産の共同所有者となる。夫と妻は,夫が生存する限り妻はその陰にかくれて独自の家産持分をもたないが,夫が死亡して再婚せずにとどまる寡婦は,夫の身代りとして夫に属していたすべてを保有し続けるという関係に立つ。以上,父子,兄弟,夫婦という三つの関係の組合せによって,いかに複雑な構成の家族においても,各人の権利が明確に規定される。…
…母子家庭および寡婦に対し,その生活の安定と向上のために必要な措置を講じ,母子家庭および寡婦の福祉を図ることを目的とする施策。母子家庭や寡婦にあっては,母親みずからが生計の中心者であり,また子や家族の養育者であるという重い責任を担い,経済的にも社会的にも精神的にもきわめて不安定な状況におかれている場合が多い。…
…元来,〈やもめ〉の語は《日本書紀》などには寡,寡婦の字があてられ,夫をなくした女,夫のない独身の女を意味し,妻をなくした男は〈やもお〉と呼ばれ,鰥の字があてられた。一方,〈女やもめに花が咲く,男やもめに蛆(うじ)がわく〉という諺にみられるように,〈やもめ〉という言葉は男女双方をさすこともあり,また,結婚せずに独身を通す者に対して用いられることもある。…
※「寡婦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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