ペルオキシダーゼ反応(読み)ペルオキシダーゼはんのう(英語表記)peroxidase reaction

改訂新版 世界大百科事典 「ペルオキシダーゼ反応」の意味・わかりやすい解説

ペルオキシダーゼ反応 (ペルオキシダーゼはんのう)
peroxidase reaction

白血球の種類や機能を明らかにするために用いられる細胞化学的特殊染色方法の一つ。ペルオキシダーゼ過酸化水素の酸素原子を賦活して基質を酸化する酵素であるが,この酵素反応原理を利用して,基質に酸化されると発色する色素を用い,ペルオキシダーゼの存在部位を染め出すのがペルオキシダーゼ反応である。正常な白血球にはいろいろな種類があるが,このうち貪食・殺菌能をもつ顆粒球,単球は,細胞質顆粒中にペルオキシダーゼを有し(ペルオキシダーゼ反応陽性),その酸化作用によって殺菌能を増強する。一方,免疫を担当するリンパ球はペルオキシダーゼ反応陰性である。

 ペルオキシダーゼ反応は病的な白血球の診断上,重要な所見を呈する。また白血病細胞は一般に骨髄性とリンパ性の2群に大別されるが,これらを鑑別し診断を確定するためにも必須の検査である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のペルオキシダーゼ反応の言及

【血痕反応】より

…このように,血痕であるか否かが明らかでない場合には,まず鋭敏でごく少量の血液でも検出でき,しかも広い範囲にわたって比較的簡単に行える検査を予備的に行って,血痕らしいものを選び出すとともに,血痕でないものを除外する。これを血痕予備試験といい,赤血球の構成成分の一つであるヘムhemeのペルオキシダーゼ反応が利用される。すなわち過酸化物(過酸化水素など)に血痕らしいものを加え,酸化によって発色または変色する物質(無色マラカイトグリーン,フェノールフタレイン,アミノピリン,テトラメチルベンジジンなど)をこれに作用させ,発色(変色)がおこるかどうかでヘムの存否を推定する。…

※「ペルオキシダーゼ反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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