日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホラヒメグモ」の意味・わかりやすい解説
ホラヒメグモ
ほらひめぐも / 洞姫蜘蛛
[学] Nesticus spp.
節足動物門クモ形綱真正クモ目ホラヒメグモ科の総称であるが、日本のものはすべて1属とされている。洞窟(どうくつ)性のクモの代表的なもので、全国各地の洞窟から発見されている。体長4、5ミリメートル、黄褐色のクモで腹部に数対の灰色斑(はん)がある。体のわりに歩脚は長い。不規則な網を張り、ヤスデなどを捕まえる。隔離による種の分化が著しく、洞窟ごとに体の部分(とくに生殖器)に形態的な変化をみせているので進化の研究の好材料である。日本には50種ほどいるが、この数は日本以外の国の合計に匹敵する。代表的なものは秋吉台(あきよしだい)洞窟群にみられるアキヨシホラヒメグモである。また、洞窟や落葉層にすむ小形の脚(あし)の短いコホラヒメグモは全国に広くみられる。
[八木沼健夫]