エープリルフール(その他表記)April fool

翻訳|April fool

デジタル大辞泉 「エープリルフール」の意味・読み・例文・類語

エープリル‐フール(April fool)

4月1日午前中に、罪のないうそをついて人をかついでも許されるという風習。また、4月1日のこと。あるいは、かつがれた人のこと。四月ばか。万愚節 春》
[補説]西洋もしくはインドに始まる風習で、日本には江戸時代中国から伝わったといわれる。「エープリルフール」という言葉大正時代定着フランスではポアソンダブリル(四月の魚)とよばれる。

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精選版 日本国語大辞典 「エープリルフール」の意味・読み・例文・類語

エープリル‐フール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] April fool ) 欧米の習慣で、四月一日は嘘をついてもよい日として楽しむこと。本来はだまされる人のことで、フランスでは poisson d'avril (四月の魚)という。キリストユダヤ人に愚弄されたのを忘れないためとも、キリストの命日ともいい、あるいはインドの揶揄節(やゆせつ)に基づくともいう。日本には大正ごろ(一九一二‐二六)に伝わった。万愚節。四月馬鹿。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「本二十三日の柴漬にアプリルフールとあるが英語ではエープリルフールと云ふので」(出典:小宮豊隆宛夏目漱石書簡‐明治四三年(1910)六月二三日)

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改訂新版 世界大百科事典 「エープリルフール」の意味・わかりやすい解説

エープリル・フール
April fool

西洋では4月1日を万愚節All Fool's Dayといい,この日にさまざまの軽いいたずらやまことしやかな〈うそ〉で他人をかついだり,むだ足をふませたりする風習がある。その日にだまされた人を四月ばかApril foolというので,一般にこの日を四月ばかの日April Fool's Dayとも呼んでいる。その起源について最も一般的な説は次のようである。すなわち,昔の新年は現行の暦の3月25日で,それから4月1日まで春分の祭りがひろくおこなわれ,その最後の日には贈物を交換するならわしであった。ところがフランスでは1564年にシャルル9世が新しい暦法を採用して,新年を現行の1月1日に改めたが,それが末端までとどかず,やはり4月1日が新年の祭りの最終日と考えられてその日贈物がかわされ,なかには新年のかわったことをよろこばぬ人々が,4月1日に昔の正月をしのび,でたらめな贈物をしたり新年の宴会のまねをしてふざけたのがおこりで,それがヨーロッパ各国にひろがったとみられている。

 イギリスでは4月1日を祭る風習は古くからおこなわれていたが,それが万愚節になったのは17世紀の初めで,フランスから伝わったといわれる。さらに東洋起源説もあり,それによるとインドでは春分に仏教の説法がおこなわれ,それは3月31日に終わったが,信者はその説教の期間がすぎると修行のかいなくもとのもくあみにもどるので,3月31日を揶揄節(やゆせつ)とよんで,人を無用な使いに走らせておもしろがったのが起源といわれる。古い記録をみても,この日に他人をだますのに〈むなしい使い〉にだしたり,〈むだ歩き〉させたりした例が多い。キリストが4月初めにアンナス(祭司の長)からカヤパ(祭司の長)のところに,カヤパからピラト(ユダヤの総督)に,ピラトからヘロデ王に,ヘロデ王からふたたびピラトにもどされたので,そのキリスト受難の故事を記念して,他人をむだに歩かせるようになったとの説もある。

 なおフランスでは四月ばかをポアソン・ダブリルPoisson d'avrilと呼んでいるが,これは〈4月の魚〉という意味でサバ(マクローmaquereau)をさしている。サバは4月になるとたくさん釣られ食料にされるので,4月1日にだまされる人を4月の魚というとする説や,4月になると太陽がうお座をはなれるので,それが起源だとの説もある。またマクローには誘拐者との意味もあり,4月は人をだます誘拐者が多い月であるから,その名がうまれたともいわれている。
(うそ)
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エープリルフール」の意味・わかりやすい解説

エープリル・フール
えーぷりるふーる
April fool

「四月馬鹿(ばか)」のこと。西洋では4月1日を「四月馬鹿の日」April fool Day、または「万愚節」All fools' Dayとよぶ。この日の午前中は、社会の安寧秩序を乱すようなうそでない限り、他人を担いでむだ足を踏ませたり、いたずらをしたりしてもよいとされる風習があり、だまされた人を「四月馬鹿」といっている。「万愚節」は11月1日の「万聖節」(諸聖人の祝日All saints' Day)に対しての称で、キリストがユダヤ人に愚弄(ぐろう)されたことを忘れないために設けた日とも、またキリストの命日ともいわれる。

 四月馬鹿の起源には諸説があってさだかでない。西洋で春分から新年が始まっていたころ、新年の祭りの最後の日である4月1日に贈り物をしあう習わしがあったが、1564年にフランスのシャルル9世が新暦を採用し、1月1日が新年になった。それで旧習を懐かしむ者たちが、4月になると多量に捕獲されて食用に供されてしまうサバを馬鹿な魚としてそれになぞらえ、ポアソン・ダブリルPoisson d'avril(「4月の魚」の意)とよんで、4月1日にふざけて新年の祝いを催し、でたらめな贈り物をしたことからという説もあり、イギリスの劇作家コングリーブが、『老いたる独身者』という風俗喜劇で四月馬鹿を扱ってから広く行われるようになったともいわれる。

 また、インドでは仏教徒が、春分から7日間、説法を聴聞したり坐禅(ざぜん)を行ったりして悟りの修行をする。その期間が過ぎるとまた迷いの世界に戻ってしまうので、この日を「揶揄(やゆ)節」とよび、からかいの行事をしたことが西洋に伝わったという説もある。中国では「衆愚節」あるいは「万愚節」といい、それが江戸時代に日本に伝わって、当時は「不義理の日」とよばれた。エープリル・フールということばは大正時代に伝えられ、ユーモアのある軽いうそで人を担いで楽しむ習慣として広まったが、現在はごく一部にみられるにすぎない。

[佐藤農人]

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百科事典マイペディア 「エープリルフール」の意味・わかりやすい解説

エープリル・フール

四月馬鹿。4月1日(西欧の万愚節)には公然とうそをいい,人をかついでもいいとする欧米の慣習が広まったもの。由来ははっきりしない。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エープリルフール」の意味・わかりやすい解説

エープリル・フール

万愚節」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のエープリルフールの言及

【噓】より

…鷽を交換することで1年間の不幸をうそとして払ってしまうともいい,それによって新しい年や幸運を迎えるのである。西洋などのキリスト教国では4月1日を〈万愚節(エープリル・フールApril Fools’Day)〉といって,罪のないうその許される日とされ,日本でもこの風は行われているが,逆に他の日はうそは許されないのであり,告解とか懺悔という形で個人的に償わねばならないのが特徴である。【飯島 吉晴】
[神話におけるうそ]
 アフリカの神話にはノウサギが主人公であるトリックスター(いたずら者)の話が多い。…

※「エープリルフール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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