マイクロ・クレジット(読み)まいくろくれじっと(英語表記)Micro‐credit

知恵蔵 「マイクロ・クレジット」の解説

マイクロ・クレジット

絶対的貧困層や女性など、通常の金融機関からは融資を受けにくい人々を対象とした小口融資制度で、貧者の銀行ともいう。融資を受ける会員たちが、貧困撲滅、人権擁護、家族計画、子供の教育、住環境の改善、及び新規事業の開拓など、多方面にわたる社会改革を共同で実践している点に特徴がある。1976年に、バングラデシュのチッタゴン大学教授、M.ユヌスによって始められた。マイクロ・クレジットの運営は、(1)任意の5人を1組とする借入単位が形成され、(2)借入の権利を得た最初の2人が6週間以内に元利を返済し終わった段階で、(3)他のメンバーが次の借入を申請する、という方式で行われる。集団の責任体制により、担保物権のない者でも借入が可能になる。アジア諸国を中心に、世界の3133カ所の機関で1億1326万人が融資を受けている(2005年12月末現在)。

(室井義雄 専修大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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