…利子率や為替レートに関する調査のほか,産業組織に関しては,限界費用にもとづく利潤の最大化という行動のルールについて,はたしてそれが実証的に妥当するかについて,P.W.アンドルーズを中心として企業行動の実態調査が行われた。ここで一つ明らかとなったのは,ホールR.L.HallおよびヒッチCharles J.Hitchによって報告された,マーク・アップ率(目標収益率)を考慮した平均費用にもとづく価格設定基準であった。これは,伝統的な限界費用主義の考え方を否定するものとして,大きな論争を生んだ。…
…費用に上乗せされた一定率に対応する収入は企業の利潤となる。この一定率はマークアップ率mark‐up percentageと呼ばれている。企業はマークアップ率を決めるにあたって,他の企業の行動や需要者の動向に注目し,利潤を最大にするように行動すると考えれば,フルコスト原理と限界原理との間には共通性がある。…
…そこで企業がどのような価格決定方式にとっているかが問題となるが,典型的なものとして挙げられるのがマーク・アップ方式と呼ばれるものである。これは企業が,製品1単位当りの労賃を中心とするコストに一定の利潤を確保するような比率(マーク・アップ率)をかけて価格決定を行うというものである。すなわち,いま企業がLだけの労働者を雇ってQだけの製品を生み出したとすると,賃金率がWなら総労働コストはWL,製品1単位当りの労働コストはWL/Qとなる。…
※「マーク・アップ率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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