ミゾコウモリ(英語表記)slit-faced bat

改訂新版 世界大百科事典 「ミゾコウモリ」の意味・わかりやすい解説

ミゾコウモリ (溝蝙蝠)
slit-faced bat

翼手目ミゾコウモリ科Nycteridaeの哺乳類の総称。虫食性のコウモリで,顔の中央部に深い溝状のくぼみをもつのでこの名がある。旧世界の特産で1属からなり,アフリカに12種,ミャンマー南部からジャワ,ボルネオ,ティモール島に2種がある。旧世界のアラコウモリ科に近縁で,両者を同じ科とする見解もある。前腕長3~6cm,頭胴長4~9cm,体重10~30g。尾は頭胴長と同長。耳介は頭より長く,その基部は皮膚のひだで連なる。耳珠は短い。尾は長く,最後位の尾椎はT字状を呈し,広い尾膜の後縁を支える。顔にある縦長の溝は開閉自由で,鼻孔はその溝の中に開く。森林サバンナにすみ,樹洞や密生した葉の間,岩の割れ目,小屋,他の動物が掘った穴などに2~20頭の小群をつくる。樹葉の上や壁に止まるガ,チョウ,クモなど比較的大型の昆虫を捕食する。東南アジアのジャワミゾコウモリNycteris javanicaは頭胴長7cmほど。熱帯雨林に単独または小群ですみ,ヤマアラシが捨てた巣穴に1対で入っていた例がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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