サバンナ(英語表記)savanna
savannah

精選版 日本国語大辞典 「サバンナ」の意味・読み・例文・類語

サバンナ

〘名〙 (savanna) 疎林や灌木が散在し、丈の高い草が生える熱帯草原熱帯雨林と砂漠の中間に分布する。はじめはアフリカのまばらな草原地帯についていわれたが、のちアフリカに限らずいわれるようになった。サバナ

サバンナ

(Savannah) アメリカ合衆国ジョージア州南東部の港湾・工業都市。サバンナ川の河口に近く、タバコ、綿花の積出港として知られる。サバナ。

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デジタル大辞泉 「サバンナ」の意味・読み・例文・類語

サバンナ(savanna)

明瞭な乾季をもつ、熱帯・亜熱帯地方にみられる草原。雨季にはイネ科の丈の高い草が茂り、低木も点在する。アフリカ・南アメリカオーストラリアなどに広く分布。サバナ。
[類語]草原くさはら湿原ステップ

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改訂新版 世界大百科事典 「サバンナ」の意味・わかりやすい解説

サバンナ
savanna
savannah

熱帯地方にみられる草本主体の原野。サバナともいう。アフリカ中部のいわゆるサバンナ,南米北部のリャノllano,カーチンガcaatinga,カンポcampoなどのほか,オーストラリア北・中部,インド半島,カリブ海地方などに分布し,丈の高い草原の中に孤立木が散在する長草サバンナを主体とするが,気候,土壌等の条件の差に応じてその相観はさまざまである。語源はカリブ語のzavanna(草原,平野の意)がスペイン語のsabanaとなり,トリニダード島などの旧イギリス領で英語に取り入れられてアフリカに伝わったらしい。長草サバンナの地域では,各月の月平均気温が20℃をこえ,昼夜の温度差は大きく,年雨量が900~1500mmで,強雨型の雨季とほとんど降雨のない乾季との別が明瞭である。これよりも湿潤度が増加すれば,立木密度が増して長草と低木の多いサバンナ疎林,さらにサバンナ高木林が,反対に乾燥度が高まれば,草丈が低くなってステップに近い短草サバンナが形成されるが,総じて4~10ヵ月の強い乾季をもつことが特徴で,乾季には草は枯れ,木も大部分が落葉する。植生は強耐乾性種で占められ,たとえばアフリカではイネ科の草とマメ科とくにアカシア属の木,南米ではカヤツリグサ科の草とマメ科の木が中心となる。多肉植物も多く,前者でのユーフォルビアと後者でのサボテンは形態的にも類似している。一方,雨季や夜間の大気湿度が高いことから,アナナス科,ラン科その他の着生植物も豊富である。
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サバンナ
Savannah

アメリカ合衆国ジョージア州南東部の工業都市,貿易港。人口12万8453(2005)。大西洋から約30km内陸に位置し,サバンナ川に面している。州第3の都市で,ジョージア州南東部とサウス・カロライナ州南部の経済的中心地。化学製品,ゴム,木材,紙製品,プラスチックなどを生産し,タバコ,綿花,砂糖粘土,松やに,パルプが主要輸出品である。1733年J.E.オグルソープが仲間の120人を引き連れて建設した州最古の都市で,1782年から85年までは州都であった。ジョージア,サウス・カロライナの綿花生産が盛んであった20世紀初期まで綿花の輸出港として発展した。町は碁盤目状の道路と街路樹,点在する公園を基本とした計画都市であり,また,植民地時代の古い住宅が残っている。
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百科事典マイペディア 「サバンナ」の意味・わかりやすい解説

サバンナ

熱帯の砂漠と熱帯降雨林の中間地帯に分布する草原地帯。丈の長い草(多くはイネ科とマメ科)が茂り,疎林や低木を所々にまじえる長草サバンナがおもだが,乾燥度が強いと短草サバンナとなる。雨季と乾季の区別が明瞭で,暑い雨季に植生は更新,繁茂し,乾季に枯れる。アフリカの中央部で大陸の面積の約3分の1を占めるものが代表的で,もともとこれに付けられた名称。多種の大型哺乳(ほにゅう)類動物が住む。南米では,ブラジルの内陸部でカンポ,オリノコ川流域でリャノと呼ばれる。→草原
→関連項目アフリカサバンナ気候サヘル熱帯植物ノーザン・テリトリーバオバブマサイ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サバンナ」の意味・わかりやすい解説

サバンナ
Savannah

(1) 1819年,蒸気船として最初に大西洋を横断したとされている蒸気帆船。3檣 (しょう) のシップ型帆船に補助的に外車推進の蒸気機関を装備した船だったため,本格的な蒸気船にはほど遠く,サバナ川からリバプールまでの大西洋横断航海も,ほとんどが帆走であった。 (2) アメリカの原子力商船。 1962年に完工。原子力推進としては世界で最初の貨客船 (1万 4000総t,速力 20ノット) 。加圧水型原子炉 (熱出力約8万 kW) を積載,実験航海ののち,65年夏から大西洋航路に就航。

サバンナ

サバナ」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉プラス 「サバンナ」の解説

サバンナ

マツダが1971年から1978年まで製造、販売していた乗用車。2ドアハードトップを中心とする。ロータリーエンジンを搭載。

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世界大百科事典(旧版)内のサバンナの言及

【オグルソープ】より

…ロンドンに生まれ,イギリス議会議員(1722‐54)。本国の負債者救済とアメリカ南部植民地をスペインならびにインディアンの攻撃から守る目的で,32年にジョージア植民地特許状をうけ,翌年渡米してサバンナを建設。インディアンとの融和政策をとり,インディアン貿易の許可制,奴隷制の禁止のほか,ラム酒の禁止もおこなった。…

【草原】より

…南半球の温帯草原の代表はアルゼンチン北部を中心に広がるパンパで,現在では森林の破壊により面積が広がっており,ほぼ全域が牧場となっている。
[サバンナsavanna]
 年降水量が400~1500mmの熱帯・亜熱帯地域は草原となる。赤道アフリカの熱帯多雨林地帯をはさんだ南北にはサバンナが広がる。…

【アフリカ】より

…アフリカは面積3030万km2,人口7億2036万(1996),面積ではアジアに次ぐ世界第2の大陸である。赤道をはさんで同心円状に,熱帯雨林,サバンナ,砂漠,地中海気候帯と多様な自然をもっている。サハラ砂漠をはさんで,北は西アジア・地中海世界とひとつづきのハム・セム系の文化をもつ白人(コーカソイド)が支配的な白人アフリカ,南は,ピグミーやコイサン(サン,コイ・コイン)の非黒人先住民と,おそらく北西部から移住拡散した黒人(ニグロイド)の世界,すなわち黒人アフリカである。…

【草原】より

…相観に基づいた植生分類としてよく用いられるリューベルE.Rübelの分類では,植生は森林,草原,荒原に大別され,樹木の被度が50%に満たず,草本の被度が50%を超えるものが草原である。世界の草原面積の大半は,サバンナ,ステップなどの乾燥気候下での気候的極相である大草原が占め,そのほかに,湿潤気候下での地形的,土壌的極相である高山草原,高茎草原,湿原などや,遷移の途中相と考えられる火山草原,砂丘草原などがある。放牧,火入れ,採草などの人為が加わって維持されている半自然草原の面積も大きく,自然草原とあわせると世界の陸地面積の1/3近くを占める。…

※「サバンナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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