メジナモドキ(読み)めじなもどき(英語表記)black seabream

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メジナモドキ」の意味・わかりやすい解説

メジナモドキ
めじなもどき / 目仁奈擬
black seabream
[学] Cantharus cantharus

硬骨魚綱スズキ目タイ科に属する海水魚。メジナの類ではない。スペイン名はchopaまたはchupa。東大西洋と地中海に分布するが、日本には分布しない。遠洋トロールで漁獲され、ヒライサキ、イサキなどの商品名で市販されている。体形クロダイに似ているが、上顎(じょうがく)には外列に湾曲した細長い円錐歯(えんすいし)が1列に並び、前方では大きな犬歯状、内側に微細な円錐歯の歯帯があるのが特徴。吻(ふん)がややとがり、口は小さく、その後端は目の前縁直下に達する程度。老成魚では目の前上方が突出する。体は灰褐色か暗褐色で、両眼の間は黒い。体側には鱗(うろこ)の列に沿って多数の細いオレンジ色の線が縦走する。成魚は水深300メートルまでの大陸棚斜面の砂礫(されき)底に生息し、若魚は水深約50メートル付近にみられる。おもに小型の無脊椎動物を食べ、全長60センチメートル以上になる。産卵期は3月から5月で、卵を砂底に産む。惣菜魚にする。

落合 明・尼岡邦夫]

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